アビリタス ホスピタリティは2003年に設立、2010年9月に現社名に変更。プロパティマネジメント(運営支援)に加えて、アセットマネジメント(資産管理)やコンサルティングなどを拡充し、顧客の要望にワンストップで対応するサービスが、投資家やオーナーなどから高い評価を受けています。同社のチーフ エグゼクティブ オフィサー(CEO)、エルネスト ア デリマ氏に話を伺いました。
― 他社にないアピールポイントは何でしょうか

ア デリマ 当社は、2010年9月にアビリタス ホスピタリティという新しい社名でスタートしました。以前は、主にホテルのプロパティマネジメント(運営支援)を行っていました。現在は、プロパティマネジメントだけではなく、アセットマネジメントやコンサルタント業務も行っています。
当社では「ノンブランド」と言っていますが、ブランドがないということが他社にはないユニークな点です。例えばクライアントがホスピタリティに関する物件を持っていたとすると、ブランドオペレーターであればどうしても自分たちのブランドの中にその物件を当てはめようとしてしまいます。ブランドを持たない私どもだからこそ、クライアントの目的にかなうよう、柔軟に対応できるのです。
また、私どもは、ホスピタリティに関する全ての要望に応えられるワンストップのサービスをご提供できます。クライアントは、分野ごとに異なる複数のコンサルティング会社に相談する必要がなく、当社一社で全部お応えできますよ、というところがもう一つの特長です。
ホテル・旅館事業といいましても、運営をやってほしい、資産管理をやってほしい、デューデリジェンスや改装についてのコンサルティングをやってほしいなど要望はさまざまです。当社がワンストップサービスを提供できることで、非常に効率的にクライアントの要望にお応えすることができます。つねにクライアントの立場に立ち、掲げた目標を達成していくという点で、高く評価されています。
― それにしてもユニークな会社ですね
ア デリマ クライアントは絶えず答えを探しています。今の世の中どうなっていくのだろうか?世界規模の金融危機があり、それがようやく安定したと思ったら、今年に入り、震災やギリシャ問題など、立て続けにクライシスが発生しました。
そのような中、例えば資産を持つ人はそれをどうやって運用すればいいのか、キャッシュ・フローも安定していかなければならず、どういう解決法があるのだろうかという課題を抱えていらっしゃいます。それらに対して、私たちは個別のベストな解決策を提供するように心がけています。
分野別にコンサルティングを提供する会社はあっても、私どものようにワンストップの会社はほとんどありません。ワンストップショップであるということ、ブランドがないということ、この2つが私たちの非常にユニークなところであると考えています。
― 2010年12月、プロパティマネジメントに加えて、アセットマネジメントと旅館事業が加わりました。具体的な狙いを教えていただけますか

ア デリマ アセットマネジメントは、ホテルや温泉のほかにも、レジデンシャル、オフィスのビルディングなどいろいろありますが、プロパティマネジメントとあわせて考えていかないと、なかなか成功は難しいといえます。アセットマネジメントには、プロパティマネジメント、運営の知識が必要です。例えば温泉やホテルのビジネスダイナミクスというものを知らないとできない。彼らはアセットマネージャーでもあるが、プロパティマネージャーでもあるのです。また、プロパティマネジメント(運営)サイドにとっても、アセットマネジメントと一緒となることによって、収益性の高い改装の実現など、メリットがあります。
そのため、私たちはアセットマネジメントを組織に加えることにしました。これにより、ワンストップショップの体制が整いました。
― それは、前からやりたいと思っていたことですか
ア デリマ 以前からそこがビジネスの“真空地帯”と感じていました。サービス、専門知識を持った人をひとつ屋根にいれて、ワンストップショップになってしまえば、これは誰もやっていないビジネスを自分たちができると考えました。
アビリタス発足以降のビジネスを振り返ると、ほぼ計画通りに推移しています。
― 金融商品取引業に登録されましたが、その狙いは
ア デリマ 投資助言・代理業としての登録ですが、私どものお客様に総合的なソリューションを提供するのであれば、ライセンスを取得して展開することが不可欠であるとともに、お客様にも安心していただけると思ったからです。
― 最初にお伺いした、どのブランドにも属さない、ニュートラルということが強みでもあるということですが、もう少し具体的にご説明いただけますか
ア デリマ ブランドを持っていると、これをしなくちゃいけない、あれをしなくちゃいけないなどブランドとしてのマニュアルや決まりごとがあり、どうしても柔軟性が失われてしまいます。その点、私どもはノンブランド、ブランドがありませんから投資家の視点でサポートをすることができます。すなわち、つねに彼らにとってのベストソリューションを提供できるということです。クライアントにとっては、アビリタスが中立で、どこにも属していないことが魅力になっているのではないでしょうか。事実、この特長はビジネスを大きく広げる一つの要素にもなっています。
― これまでのポートフォリオの改善事例や震災後の回復例があれば教えてください

ア デリマ 東京ディズニーリゾートの近くにグループホテルのオリエンタルホテル 東京ベイがありますが、同エリアは地震の影響を強く受けました。被害を受けながらも、アビリタスの社員である総支配人は、地震の後すぐに体制を整えて「ホテルは営業しています」とアナウンスし、地元への援助を開始しました。
震災でひどい打撃を受けましたが、リカバリーも早く、財政的には急速に回復しました。どうしてそれができたかというと、まずオペレーションチームとオーナーサイドがしっかり連携し、何をどの順番でするのかを決めて迅速に動き出したからです。8月以降、オリエンタルホテル 東京ベイは、浦安のマーケットの中でベストパフォーマーと言われるまでに回復しました。
さらに、自分たちが被災したにもかかわらずこれだけリカバーしたということが、ホテル従業員のモラルに大変良い影響を与えました。私たちは国際的なバックグラウンドも持つ、実務経験に富んだ人材の集団ですので、緊急時にどう対処したらいいか、というノウハウを持っています。今回の震災でもそのノウハウと専門知識が役に立ったと思います。
― 日本の温泉旅館の持つ魅力や可能性について、どのような考えをお持ちですか

ア デリマ 日本には約5万軒の旅館と、約1万軒のホテルがあります。しかし、双方の述べ客室数はほとんど同じです。これは私見ですが、日本の温泉旅館は日本の文化そのものですので、ぜひとも保存していかなくてはなりません。しかしながら、大きく変わりつつある消費者動向とともに、新しい技術を持ち込んで、近代化する必要があります。これは非常に大きな命題だと思います。
私は温泉ビジネスを非常にポテンシャルの高いビジネスだと思っています。しかし、それをどのように進めていくのか。例えば皆さんが最新式のスマートフォンやタブレットを持っていることを考えると、まずホテルや旅館を利用されるお客様、消費者が変わってきています。ディストリビューション・システムも変わってきました、それからコミュニケーションも変わってきました。技術の恩恵を受けている日本のお客様を、これからも惹きつけていくにはどのようにコミュニケーションを取っていけば良いのかを考えることはとても大事なことです。
― 今後の目標について教えてください

ア デリマ ニッチなマーケットで独自の地位を確立しつつあると思いますので、今後はより良いサービスを提供し、拡充を図っていくことが目標です。
人は皆、毎日眠り、食事をしますが、端的にいうと、それがホスピタリティビジネスの根幹です。お客様に快適だと感じていただけるベッドと美味しい料理を提供する――これはどうあっても変わらない事実だと思います。私どもの使命は、そのホスピタリティビジネスに投資する皆様に安心感を与え、そして多くのリターンをもたらすということです。そして、私たちの特長である、ワンストップサービスと、ノンブランドの中立な立場が、目標達成の鍵であると考えています。
― では最後に、ホスピタリティビジネスの魅力をどのように捉えていらっしゃいますか
ア デリマ 私は、前職で20年以上ホテル運営に携わってきました。人々との出会いは、私にとってつねに魅力あふれる体験です。ホテルの仕事を続けてきたのは、生活の糧としてだけではなく、人々に満足してもらえる、幸せな気持ちになってもらえる素晴らしい職業だからです。ホテルにはレジャーやビジネスなど、いろいろな目的を持って人が訪れます。そこにインタラクティブなコミュニケーションが発生することが、私にとっては一番の魅力です。「be hospitable」と言うように、おもてなしの心が大切だと思います。